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めがね食堂

The Beatles、恐るべし

今を遡ること12年前、1998年といえば、前年に山一証券・拓殖銀行と相次いで
大手金融が破綻し、世情がなんともざわざわしていた時期。
ちょうどその年に「メガネに拘る」ということに開眼した、めがね兄さんことめ兄は
それから12年間ずっと、theo(テオ)というベルギーのブランド一筋だった。

たしかmonoマガジンかなんかの、お洒落メガネ(笑)特集号を読んだのだと思う。
そこに載っていた theo の、あまりに世間とずれてる尖りまくった個性に一目惚れ。
当時はインターネットなんてまだ、普及しきっていない時代。
欲しくなったら、掲載雑誌に「取り扱い店舗」として紹介されているお店に行くしかない。
という訳でそこに載っていた、名古屋の白壁という、繁華街ではない意外な街にある
「ハバナ・ミュージアム」というメガネ屋に行き、そこで人生で初めて生 theo に遭遇。

・・・こ、これは・・・

いまはすっかり市民権を得たものの、当時のメガネはまだ「野暮ったい」人が大半。
自分もそうだったけど、なんかもう、「メガネくん」だったわけだ。
でもそれが周りに「安心感」を与えていたのも事実で
すなわち、ケッタイなメガネをかけること = 自分が今まで積み上げてきた「キャラ」を
捨て去ってしまう危険性を孕む、ということに当時のめ兄は、気づかなかった。
雑誌に踊らされていたバカアンチャンだったからね。

このころの theo は今から思うと、まぁ、フツー(笑)
「LAIT」や「RHUM」とか、今でも通用するようなアバンギャルドなモデルもあったけど。
尻込みをしつつも、店員さんの薦めもあり尖りすぎていない(比較して)モデルを購入。
「claude」という、ブリッジ部分が非常に個性的なモデルの、艶のある黒。
所謂「鼻メガネ」みたいな造りで、最初にかけたときの違和感は相当であったが
勢いも手伝い、鏡の中の自分に「まぁ、そのうちに慣れるでしょ?」と語りかけ
呑気にフンフンと帰宅をしたのだった。
が、周囲の反響は、そんなものではなかった。

「えーっとそれって、視力測るときのメガネ?」

「あ、それとも、視力矯正用の器具?」

「中田ヒデのモノマネ?」

1998年当時の認識っちゃ、こんなものである。
挙句の果てには、当時、切り替えをしていた社員証の写真を撮る際、当時の上司に
「おい、め兄、おまえまさかその悪戯けたメガネで写る気じゃないだろうな?」と質問され
そのつもりですが、と答えるやいなや「バカヤロー、会社をなんだと思ってんだ」
と懇々と説教され続け、結局は外して撮ることになる始末。
そもそもメガネ外した顔で写っちゃ、社員証の意味がないでしょうに・・・。

とかやっているうちに世の中の潮目も変わっていき、個性派メガネも市民権を得始める。
21世紀になると、数千円程度でとりあえずちゃんと度が入ったメガネが作れるようになり
TPOに合わせてメガネを着替える、ということが嗜みの一部のように云われ始める。
そして気がつくと、あれだけ云われ続けた「ヘンなメガネ」と云う形容詞がつかなくなった。
世の中に、theo を模した、ただ奇抜なだけのデザインメガネが氾濫し始めたためである。

theo を買ったとき、「いいメガネってこんなに高いのか!」と驚愕したのを覚えている。
かなり質のいいレンズにしたのもあったのだが、レンズ入れて8万円弱ほどした気がする。
なので気軽に買えずにずっと使っていたのだが、4年半ほど経過し新調を決意した際
今度は theo の中でもかなり「保守的」なモデルを選択。
デザインメガネが氾濫する中、世の流れに逆らいたいのは、天邪鬼の悲しい習性である。
今度は「princess」という、可愛らしい名前のついたモデル。
ライラマットという、ボルドーとブラウンとコッパーのどれでもないような色を選択。
これは歴代の theo の中でも有数の保守モデルじゃないかと(個人的には)思ってるので
想定通り周りに波紋を呼ぶことなく、むしろ地味に theo 歴を重ねていった時代であった。

とはいえやはり theo 愛好家としては、ムチャクチャなのが欲しくなるときもある。
数年経って次の theo としてチョイスしたのは「eye-witness MC」の、色はボルドー。
左右非対称のアシンメトリーで、アンダーリムの非常にスッキリとしたモデル。
造りが超・繊細で、ある種の芸術作品のようにメチャクチャ凝っていて
でも相当に近づかないとアシンメトリーなのは気づかれないという、ちょっと悲しいモデル。
他人はそこまで顔を近づけないからね、ほとんどアシンメトリーなのに気づく人はいない。
そもそも「メガネのデザインは左右対称になってる」という思い込みで見ているから、だが。

そんな繊細な「eye-witness MC」だが、ある日、鼻パッド部分がポロリと取れた。
「しょうがねえなぁ、パッド替えるか」と呟いて拾い上げると、なんと驚愕なことに
パッドの部分が、根元からポキリと折れてしまっているのだ。
写真アップしてないので説明には限界があるけど、「えええー」という折れ方だった。
焦って近所のメガネ屋に持ち込み修理見積もりを取るも
「こんなデザイン性の高いメガネは、完全には戻せませんね」と云われてしまう。
要は、元のデザインと異なってしまうのを了承してくれるなら、引き受けますと云うこと。
思案六歩(←オイチョカブ用語)、非常に迷ったが、一旦修理を中断。
め姉に、風呂にもかけたまま入ったりしてるので、困ったなぁ、なんていう話すると
「はぁ?バカじゃないの?そんなことしているから腐食したんでしょ」とバッサリ。
うええええええええええん( T T)
隠居させていた「princess」に現役復帰をお願いし、しばし雌伏の日々を過ごすことに。

で、先日。
東京に行った際「eye-witness MC」を買った新宿の某ショップに行った。
馴染みのSさんに「eye-witness MC」の、ポッキリにビックリしてガックリの事情を話すと
「まずは見せてくださいよ。完全ではないけど、なんとかなる可能性ありますよ」
という力強いお言葉をもらったので、郵送して見てもらうことになった。

それに気を良くして店内を見渡してると、「たまにはこれ、どうすか」と持って来てくれる。
「メアーニさんはいつも theo なのはわかってますけど、これ、似合うと思いますよ」

っとと。
mikli だぞ。

-alain mikli-
theo 崇拝者として、他ブランドは気にも留めていないのだが、mikli は違っていた。
昔から気にはなっていた。
一目、置いていた。

メガネブランドをロックで例えるならば、alain mikli は The Beatles と云えるだろう。
つまりすべての始まりであり、揺るぎない絶対王者。
メガネがブームとなるずっと前から、まったくブレずにカッコいいメガネを作っていた。
対する theo は明らかだ。
King Crimson であろう。

鮮烈な King Crimson からメガネ界に入ってしまった、ある意味不幸なめ兄は
王者である Beatles が気になっていたものの、そちらに行けずにいた。
いまさら Beatles を聴く(= mikli をかける)のも、ちょっと・・・という気持ちである。
大半のロックファンの、偽らざる心境ではなかろうか。
本当のロック道のほうでは、25年以上王道の Beatles ヲタクを続けているめ兄なのに
メガネでは素直になれていなかった。
でも、昨年9月のリマスター時に素直に 初 Beatles したロックファンがたくさんいる。
め兄、いまが素直になるビッグチャンスではないのか?


なんと
mikli を
買ってしまった。
A0657 63 モザイクブルー。

そして
これが
かなり
いいのだ。

ずっと theo の金属フレームばかりだったので、セル(アセテート)フレームはどうかな?
とちょっと引っかかってはいたのだが、これが非常に、いい。
重さも締め付けもまったく気にならない。
これは mikli の特長である、バネ式蝶番のなせる技なのだろうか?
そして周りの反響がまたいいではないか。

「オッ、なんか、賢そうに見えるよ」

「いつもよりずっと、クールですね」

はいはいいつもバカでウザいオッサンでした。
はいはいごめんなさーい。
メガネだけでそれほど云われるって普段どうなんだ、という気がしないでもないが
でもまぁ、うん、悪い気はしないなぁ。
mikli ってやっぱ王者だ、すげえよな。
しかし翻って、theo の素晴らしさも再認識。
これを書くために、しまってある「eye-witness MC」を出して来てマジマジと見たのだが
やっぱ、こいつ、すげぇ。
アート作品だわ。
となると、やっぱ King Crimson 恐るべし、と言いたいところなんだが
今回それを気づかせたのは、Beatles である王者 alain mikli なのである。


と、いうことでやっと、Beatles 恐るべし、なのである。
ここまで読まないと、タイトルの意味わかんねえよな。
by meganesyokudou | 2010-04-11 01:04 | めがね兄さんのブログ
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